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2022-05-28 14:03:10 +05:30

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時は平和十三年、戦国の世。
畿内周辺から離れた北の諸国も、時代の波に呑まれ、戦火に見舞われた。
全ての戦がそうであるように、死闘の末に一方は敗北した。城は燃やされ、廃墟となり——その主の一族と落人たちも山奥に逃げ込んだ。
この舞台にも、何ら特別なところはなかった。
しかしそんな舞台に、艶やかな衣装の浪人が現れたのだ。
いや、衣装が艶やかというよりも、正確には……
そう——女装である。
対照的に、彼に同行していたのは大きすぎる羽織を身に纏う小柄な女性だった。
とにかくどう見ても、怪しい人物だとしか思えない。
しかし彼らはそのことに気づいていないらしく、堂々と山の麓にある関所まで歩いて行った。
そして案の定、関所を守る足軽に止められた。
「何者だ!」
通常はただの決まり文句であるそれは、今日に限っては心からの質問らしかった。
「見ての通り、ただの通行人だ。」
説得力のない答えである。
しかし浪人のハッキリとした口調に怯んだのか、質問した足軽は少し躊躇いを見せた。
「とにかく、ご同行お願いします。」
「やっぱりだめか……」
失望の色が浪人の顔に浮かぶ。すると直後、三人の足軽は声をあげて倒れた。
「最初からそうするつもりだったくせに。本当に性悪なやつ。」
女は後ろから、小声でそうツッコんだ。