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人生とはこういうものだ。
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「善悪を弁え、良し悪しを見極めろ」…いつも両親からはそう言われてきた。だが、現実はいつだって二つの悪い選択肢の中から、少しマシなほうを選ぶだけ。
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付き合っていた彼女から別れを切り出され、さらに俺が博打に依存してると上司に告げ口された。そのせいで俺は仕事を失った。当然ながら、俺にそんな無駄なことをする金なんてない。保護費を払わなければ、両親の安否だって危ういのだから。
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親からは不甲斐ないと罵られた。仕事もせず、金も貯めていないことを責められた。
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だったら、俺は一体誰のために…俺は間違ったことなどしていないはずだ。
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しいて言うなら、努力しても生きていけず、死のうにもその勇気がない——そんな存在自体が間違っていたのだろう。
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もういい、あいつらが来たら金を渡すだけだ。その後、どうモラを稼ぐかを考えないと。でなきゃ、海草だけを食べる生活になる。
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さて、二つの悪い選択肢の中から、どっちがマシかを決めるとしよう。
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一太刀で斬り伏せられるか、あるいは飛んできた石で頭を潰されるか——どっちが楽に逝ける?
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「ジジ…ジジジ——」
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さっきから変な音がするが、一体なんだ…
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雷でも落ちるのか?
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……
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再び目が覚めた時、あれからどれほど時間が経ったのか分からなかった。
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意識を失う寸前の記憶しか残っていない。あの時、何か鋭いものが一瞬で全身を貫いた感覚がした。
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「ん?痛くない…えっ!?」
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あまりの衝撃に、大きな声が出てしまった。
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今のは、俺の声か…?
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「ああ、ああ——」
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どうやら、間違いないようだ。
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腕を上げると、華やかな布地の下から真っ白な肌が見えた。
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明らかに俺の体じゃない。だが俺の脳は、その簡単な答えに辿り着けずにいた。
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どう考えてもありえない。
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立ち上がり、やっと身に着けている服の全貌を目にすることができた。
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細部に至るまで作りは豪華。もっとも高貴な者のみが着られる品だろう。
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まさか…
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「あいつ、どこいったんだ…なっ!ら…雷電将軍!?」
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それは、衝撃的な呼び名だった。
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そうか。
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どうやら、俺は雷電将軍になっているようだ。
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保護費を回収しに来た海乱鬼が隊列を組む。顔は見えなかったが、その動作からは警戒心と恐怖が感じ取れた。
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そんな様子の彼らを、俺は今まで見たことがない。
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「野郎ども…今こそ復讐を果たす時が来た…」
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声が明らかに尻すぼみしている。怯えているようだ。
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手下の前で恥をかきたくはないが、このまま逃げることもできないのだろう。彼はとうに戦いの結末を予測できているのだ。
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人数が次第に増えていく。十人、二十人、五十人…
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戦力的に不利な部分を人数で補おうとしているのか。
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だが雷電将軍の力は、凡人と同じ秤にかけられるようなものじゃない。
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「お前たちで、試し斬りしてみよう。」
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息を止め、集中して構える。
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この一太刀を振るった後、すべての運命が変わる予感がした。
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「無想…」
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……
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ん?待てよ。
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「無想の一太刀」って…どうやって使うんだ? |