2022-04-24 14:49:08 +05:30

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Plaintext

立ち去る旅人は、柳の冠を最後の記念として、
そよ風にのった蒲公英のように、離れ離れになった恋人を心に留めた。
旅人は大陸を流浪する琴師、酒の国の少女はお金持ちの虜だった。
何らかの理由で、流浪人の琴声にはその心が溢れてきた。
「僕が惚れたのは…君の笑顔だ」
「君に出会って以来、まだ見たこがない」
「僕がその鎖をちぎってやる」
「その時は、笑顔を見せてくれ」
「ええ、ありがとう。上手くいけるといいなぁ」
その約束は甘く聞こえるが、琴師の言葉は果たして信じられるものだろうか…