2022-04-24 14:49:08 +05:30

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——深海の断魂古神殿——
ヴィーラとサッチが成長するにつれ、4人の関係には微妙な変化が訪れていた。
「もう君の言い訳にはうんざり」サッチがエークに向かって言った、「たとえ君がヴィーラにそんな感情を持っていなくとも、ヴィーラは君と一緒にいたいと思ってる」
エークは遠方を象徴し、未知と珍しさの隠喩である。勇敢な鳥は一生巣を築くことがなく、恋慕の風と共に生きていく。
エークはサッチに答える、「どう考えても、1000年を生きた者じゃ年寄り過ぎて釣り合わないだろう」
「余の年齢とぴったりじゃん」と姫は嬉しそうにすすっと近寄ってきた。
勇気を出して告白しようとしたサッチに、残酷な運命が待ち受けていた。
エークとヴィーラが出会った最初の頃、古神からもらった古い剣のことを覚えているだろうか? あれはエークが運命の歯車を回すために手に入れた鍵であった——今、ヴィーラの指はこの剣に切られ、凶悪な古代のウィルスに感染し死んでしまった!
「君のせいだ!」サッチはエークの襟首を掴んだ。普段のエークならとぼけて笑うだろう——彼の性根は善良な老人なのだから。でも、今回はサッチの手をはらった。
「あんたは時間を巻き戻すことができるんでしょ? ヴィーラを助けて!」姫もエークへと嘆願する。
「お前らはわかっていない。過去を救えるのは未来だけだ。過去を変えるだけでは、ヴィーラのいない未来を救えないんだよ!」エークは血が滲むほど唇を噛む。
「あるところにこんな神話があった。白銀時代の人類は幼少期が長く、それは200年もあったという。故に儚い成人期は苦難に満ちていた」
他の人にとって、幼少期はすでに終わりを告げているが、青春はまだ手が届かない先にある。
ヴィーラのいない『少女ヴィーラの憂鬱』、また次回で!