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……
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「お嬢様、巡礼の中で流した涙は決して無駄にはなりません。」
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静寂の国の巡礼が終わった時、オズヴァルド·ラフナヴィネスは皇女にそう言った。
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長い時空を超えた旅の中で、「断罪の皇女」と「昼夜を断ち切る黒鴉オズ」は無数の物語の終わりを見届けてきた。雨の一滴一滴が、旅の終わりに海へと流れ込み、少年たちの怒りは鎮まる。情熱が時間に摩耗されなければ、逆巻く古樹のパラノイアとなる。時の木に立つ壮大で偉大なレマ共和国の枝はやがて切り落とされ、狼の双子のもう一人に国を明け渡すだろう。
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世のすべては破滅とともに、皇女とその未来の国へと来たる。静寂と暗闇に包まれているガーデンの中で、眠りにつける片隅を得る。
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それでも、ドゥロクトゥルフトが少年の夢と未だ落ちぬ雨雫のために「世界の獣」に寝返り、挙句の果てその爪で切り裂かれた時、皇女は涙を流した。
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「覚えておきなさい。オズヴァルド·ラフナヴィネス、幽夜浄土の皇女は涙なんて流さないわ。」
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彼女はそう答えた。「この世は、誰もが罪を背負っているの。判決の鐘が鳴り響く時、闇夜が再び世界を覆う。人も獣もその中でもがく姿は、ただの幽夜のワルツに過ぎないわ。」
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「お嬢様のおっしゃる通りでございます。」
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「ふん、分かればいいわ。」
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「ではお嬢様、この物語は、まだ覚えていらっしゃるでしょうか——」
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原初の宇宙に香り漂う海を輝かせ、アランニャの獣をかき鳴らしていた三つの月のうち二つは、世界の果てを引き裂く剣によって砕かれ、皇女の魔眼にすら映らないほど細かい砂となった。
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あるいはこうだ——かつて宇宙を照らし、安らかに眠る三つの世界の人々に夢と歌をもたらし、夜明けと夕暮れの間を彷徨う獣に欲望を生み出させた月は、ついに砂となった——それでも、皇女のそのすべてを凝視する瞳に宿り、より多くの儚い光をもたらすことを願う。
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そう、皇女は涙を流さない。
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あれは、無礼な砂が彼女の目に入り、体が起こした拒絶反応に過ぎないのだ。
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~完~
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