2022-04-24 14:49:08 +05:30

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Plaintext

鉄のように硬い古びた弓、ある有名な弓使いが所有していた。
弓は弓使いと共に、魔物や盗賊を簡単に倒す場面を経験してきた。
彼は弓術の極みの道を追いかけていた。
弦音は鳴りやまない雷のようで、
天空を貫いた矢は日の光を覆い隠す鉄の雨のようだった。
晩年の弓使いは悟った。
「極めし者、無に還る」
それから弓による決闘の話や、
鉄の弓で魔獣妖怪を討伐した話を二度と語らなかった。
その後、彼は弓を埋葬し、城外の山に隠居した。
彼の最期に伝説が残っている。
彼が生きていた時、夜になると屋敷は眩しく紫色に光り、妖魔も恐れて近寄らなかった。
亡くなった日の夜は激しい嵐だった。落雷は一度だったが、伴った閃光は天空を突き抜けた。