2022-04-24 14:49:08 +05:30

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少し色落ちした上質な盃、
海淵の砂で磨かれたもの。
上質な盃が航海士の手から滑り落ち、海にほんの少しの水しぶきを立てた。
大量の魚の群れで、光が薄れる海淵で、一体何を経験したのだろう?
静寂で暗い路地で、花壇の柵前で、一体何を経験したのだろう?
金の盃はゆっくりと、海に潜む怪物の夢に、船の上の航海士の夢に沈んでいった…
「この罪はあなたから被せられたもの、この屈辱はいつか必ず返させてもらう」
月明かりが青宝石の眼とまばゆいばかりの傷跡を照らす。
彼の記憶の中にある彼女の顔は、明るくて美しかった。
しかし彼は当時のことを忘れてしまい、悔しさだけが残った。
「ところで、過去を忘れるのはこれで何回目だろう…」
「過去のことを言ったってどうにもならないだろ!」
「すべての死は無駄であり、救いはないのだから。」