2022-04-24 14:49:08 +05:30

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Plaintext

水を盛った精巧な風船。
稲妻の志怪小説では、
非人のものと出会う度に得られる記念品である…
夏祭りの人波で両親と離れた。
水風船が見たくて、
父の手を放しただけなのに。
神鉾を運ぶ人は私たちをかき分けた。
私は参道の端にある鳥居で泣きながら、
登山する通行人の足を数えた。
いつごろから傍に立っていた、
狐のような美しい女性が私の手を取った。
「こんなに可愛い子を置いとくなんて、酷いわ」
「どうだい?花火とダーツと風船を見に行こうか」