2022-04-24 14:49:08 +05:30

14 lines
817 B
Plaintext

運命を追う旅人は、止まらぬ時の流れも追っていた。
貴族に立ち向かう楽団も、歴史の流れから永遠に消え去った。
長い旅の途中で、どんな時計でも機能を失ってしまうかもしれない。
永遠に回り続けるのは、月日の光に頼る日時計のみ。
形のない時間を捕むため、旅人は光と競争した。
貴族たちの華麗な屋敷も、暴政を敷くために家を失った楽団も、
同じ姿で時間の流れに挟まれ、幻滅へと落ちた。
月のない夜に、異邦人は闇に包まれて、疲れた顔の影が暗に映った。
「矢のような曲も尽きようとし、美しい合奏は終わりに近寄る」
「広場の冷たい高塔が倒れる時、あなたの笑顔を見てみたい」