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プロローグ
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(とても煌びやかな王宮。すごく豪華なセット。偉大なる国王陛下、勇敢な姫、そして忠実な侍従が台上でスタンバイしている。)
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傍白:人の夢は黄金に値する。そう聞いた悪龍が夢を食い尽くすため王国にやってきた。
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傍白:夕餉は青物か肉か?ちょうど王と姫は言い争っていた。
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傍白:両方とも召し上がればいいのにと、姫の最も忠実な侍従は考える。
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傍白:しかし所詮、無名の者。誰も彼の考えなど気にしない。
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(悪龍は登場する前に、上空で三回ほど旋回して火を噴く。舞台セットや観衆に火がつかないよう、注意!)
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悪龍:黄金の夢…一体どんな味がするんじゃ?
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(悪龍が降下してくると、舞台が揺れる。迫力とインパクトが必要!ただし、揺れすぎるとセットが崩れてしまうかもしれないので要注意。)
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悪龍:おっと。王宮の地面は凸凹じゃ、危うく着地に失敗するところじゃった。
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悪龍:おお…よいぞ!たまらん!小さき人に、大きな夢!満腹の予感じゃ!
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(国王が前に出て、悪龍と対面する。堂々とした振る舞い。)
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国王:悪龍!なにゆえこの地へ!?
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悪龍:悪龍?礼儀がなっとらんな。
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(悪龍が翼を広げ、舞台上のライトを半分以上遮る。)
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悪龍:ワシのように先見の明を持つ龍は、「善龍」と呼ぶべし!
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悪龍:同族は財宝に目がないが、それよりも価値あるものを見つけた。すなわち、人の夢じゃ!
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悪龍:空腹だろうとなかろうと、人は心に夢を作り続ける。実に不思議じゃ。
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悪龍:夢は黄金よりも価値あるものだと、人は言う。
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悪龍:(貪欲に)「黄金よりも価値あるもの」がワシを満腹にできるかどうか、一日かけて見極めよう。
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悪龍:(強欲に)空腹のせいで、目つきが悪くなる。はよ食わせい。
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悪龍:小さき王、汝と家族の命が惜しくば、定刻通りに犠牲を捧げよ!
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国王:凶星の如きその目は、腰抜けと勇士も見分けられぬ、飾り玉か?
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国王:気高さと夢は余が一生をかけて追求するもの。これしきの脅威のためには捨てぬ。
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国王:去れ、悪龍よ!渡すものなど微塵もないわ!
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悪龍:なかなかの勇気じゃが、よく考えてから発言したほうがよいぞ。
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悪龍:犠牲と滅亡を天秤にかけて、また決断を下すがよい。
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悪龍:ふぁ~、ワシは郊外で眠るとしよう。日没までに佳き肴を捧げよ。
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悪龍:なければ、直々にゆく。ただしその時、正殿は石窯となり、王宮は食堂となる!
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(悪龍が耳をつんざくような咆哮を上げる。この迫力を表現するため、舞台も揺らす。こちらもやりすぎに注意するか、背景をロープなどで固定したほうがいいかも。悪龍が舞台を去る際については、火を噴く必要なし。経費はこの後の大きなシーンで使うべき。)
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傍白:悪龍は王宮を去った。郊外で一休みしながら、王の晩餐を待つのだ。
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傍白:威厳ある王は屈することなく、部隊を作り悪龍を倒そうとしていた。
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姫:(姫様が登場するとき、必ずスポットライトを当てること!)王国を守るため、夢喰いの悪龍を私が打ち砕きます。
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国王:娘よ!己の身分を弁えなさい!
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国王:姫なのだぞ、わがままは通らぬ。
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国王:戦場はぬしの居場所ではない、王宮の寝室にいよ。
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姫:陛下の教えなのに——気高さと夢を諦めぬことを忘れたのですか!
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姫:私は姫であり、戦士でもある。王国の民と苦楽を分かち合わねば!
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姫:悪龍が迫る中、高みの見物をしていられませぬ。
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国王:戦士である前に、姫であろう。
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国王:娘を危険な目に遭わせる父親はどこにもおらぬ。
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国王:それにほんの数年前まで、ぬしはまだ…
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忠実な侍従:(スポットライトは必要なし)コホン!陛下、ご安心を!必ず姫様を守り抜いて見せます!
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国王:功績も名声もないぬしの言に、どうして安心できようか?
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(国王がレオンを下がらせる)
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国王:仕方ない、王国の名高き勇者たちを姫に同行させるとしよう。
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傍白:王国の名高き勇者は、三名とも腕利きで武勇に優れていた。
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傍白:彼らは城外で、順番に殿上の時を待っていた。
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(三人の勇者が登場するシーンでは、全員にスポットライトを当てること。一緒に鳥の羽根を舞わせてもいいかもしれない。)
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傍白:偉業の作り手、武勇に名高き英傑——勇者甲。
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傍白:数ある功績と、冒険譚は万人に謳われている。
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傍白:ろう者を除けば、王国に彼の名を知らぬ者はいない。
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(勇者甲が剣を持って歩を進め、観衆の方を向く。声量は、他の登場人物よりも三割以上大きくすること。)
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勇者甲:友よ!俺の功績を知らない?じゃ、耳を澄ましてよく聞けよ!
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傍白:優柔不断で慎重すぎる策士——勇者乙。
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傍白:しかし彼は、幾度も危難を乗り越えてきた。
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傍白:及び腰との批判もあれば、思慮深いとの賞賛もある。
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(勇者乙が前に出て、同じように観衆の方を向く。)
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勇者乙:さ…策略で勝てるなら、正攻法など無駄。良計は、一朝一夕には成せない…
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勇者乙:お…恐れているだと?わ、私だって、百戦錬磨の勇者なんだぞ!
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傍白:経験豊富な龍殺しの宗匠——勇者丙。
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傍白:「龍殺しなんか野菜を切るより簡単だよな…って、俺だけ?」
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傍白:彼は過去の戦利品を並べながら、その伝説を詳しく語る。
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(勇者丙が前に出て、箱からマントを取り出し、観衆に見せつける。)
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勇者丙:見ろ、この貴重なマントには長い物語がある…
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傍白:勇者たちはみな、闘志満々の様子である。
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姫:凝った肩書きね。一体どんなこだわりなのかしら?
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忠実な侍従:最近は、本の中の肩書きで名を彩るのが流行りのようです。
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姫:へえ、知らなかったわ!私の見識不足ね。
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国王:よく来たな、勇者たちよ!困難と危険に満ちた旅になるが、武運を祈る!
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(勇者全員にスポットライトを当て、観衆に姿を見せる。)
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勇者甲:過去の勝利に誓って、今日も必ず、成功を姫様に捧げよう!
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勇者甲:俺がいれば心配いらない。悪龍ごとき、朝飯前だ!
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勇者乙:…あ、悪龍など恐るるに足らず!
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勇者乙:策を立てれば、悪龍は長居を恐れてすぐ立ち去るでしょう。
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勇者丙:どっちも一理あるけど、お手並み拝見のチャンスはないかもな。
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勇者丙:俺が無数の龍を殺してきたのは有名だろ。悪龍も、恐れてとっくに逃げたんじゃないか。
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傍白:こうして姫は忠実な侍従を連れて…
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傍白:三人の武勇名高き勇者と共に、すぐさま悪龍討伐に赴いた。
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(全員退場。その際、明るい未来を暗示して、ライトで役者たちの進む方向を照らすのもいいかもしれない。ただし、観衆にライトが当たらないよう気をつけること。クレームが来てしまったら困るので。)
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インタールード·其の一
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(郊外、湖畔の森。遠くの丘に城が見える。木々のセットはリアルに。事前に舞台上に落ち葉などを敷いて、悪龍が上空を飛ぶときに巻き上がるようにすれば、よりリアルさを強調できる!)
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傍白:郊外にあるとっておきの湖畔。そよ風と緑の前には、心まで爽やかになる。
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傍白:悪龍はここへ降り立ち、一休みすることにした。
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(悪龍が遠くから飛んで来て、舞台の周りを三周飛ぶ。それ以上飛んでも問題はないが、セットを燃やさないためにも火は噴かないこと。)
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悪龍:遠くの城は、木にとまる小鳥のようじゃな。小人は晩餐を用意してくれたじゃろうか?
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悪龍:真昼の地面は熱すぎる。日陰に移ったほうが良さそうじゃの。
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(悪龍が木の陰に降り立ち、体を丸めて休む。その際、背景を倒さないよう、しっぽに注意すること。)
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悪龍:(疲れた感じで)美食のためにはるばるやってきたが、用事を言いつけたら腹が減ってしまったわい。
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悪龍:もしやつが応じなければ、堪忍袋の緒も切れてしまうやもしれんな。
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傍白:こうして木陰で休んでいると、向こうから商人のような男が慌ただしくやってきた。
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(商人登場。早歩きで悪龍のそばを通り過ぎる。)
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商人:(怒りながら)クソッ、騒がしいやつのせいで、大して商売しないうちに店じまいだ!
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商人:行商人とはいえ、長い道のりを生きてきたんだ。なのに、あれがこの国のおもてなしってわけか?
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商人:あの大声のやつ、とんでもないぜ。長年商売をやってきて、あんな理不尽な買い手は初めて見た。
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商人:値段が高けりゃ涙ながらに「たかられた」、値段を安くすりゃ「商品の品質が悪い」ときた。
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商人:どこかの目利きかと思って値切ってやったが、結局弄ばれただけじゃないか!
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商人:物を買う気なんか最初からなくて、買い物って「挑戦」にただ負けたくなかったんだ!
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傍白:商人が毒突いていると、またご立腹の人がやってきた。
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(冒険者登場。商人とすれ違う。)
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冒険者:ツイてない!悪龍を追いかけなきゃなのに、訳の分からんやつの相手をする暇はないんだ。
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冒険者:冒険者として悪龍を放っておけない。あいつ…思い出しただけで腹が立つ!
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冒険者:やつの肩書きを知らないと言ったら、大きな過ちかのようにしつこく言ってきて。
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冒険者:その上、悪龍を追っても無駄だ、勝ちたいだけかなんて言って、僕を侮辱したんだ。
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勇者甲:(舞台裏)悪龍、出てこい!無意味な抵抗はやめろ!
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商人:この声!やつだ!
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冒険者:きっとやつだ!
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(商人と冒険者がいきり立ちながら周囲を見回し、勇者甲の姿を探す。ここで幕が下りる。心情をよりリアルに表すため、舞台に上がる前に、役者たちには彼らの夕食が勇者甲に盗まれたと想像してもらおう。)
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悪龍:騒がしい小人じゃ。姿も見んうちに、気分を害されるとはの。
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傍白:猛暑にも負けぬ勢いで悪龍を追いかけてきたのは、武勇に名高き英傑であった。
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(勇者甲が剣を持って登場。意気揚々と、得意げな感じ。スポットライトを彼に当てること。)
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勇者甲:ハッ!俺は随分有名みたいだ。悪龍でさえ、怯んで魂が抜けたらしい。
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悪龍:小人のくせに大口を叩きおる。善龍も放っておけんのう。
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勇者甲:やっと現れたな悪龍!探す手間が省けたぜ!(勇者甲が剣を抜いて悪龍に立ち向かい、攻撃しようとする。)
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悪龍:意気揚々じゃが、汝の夢はいかなるものか、垣間見てやろう。
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悪龍:ふむ——(勇者甲を観察し、感慨深い表情を浮かべる。)
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勇者甲:悪龍、なぜ黙る?さては、俺の夢が偉大すぎて、呑み込めないんだな。
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傍白:名高き英傑と悪龍が対峙していると、心配した姫様一行がようやく辿り着いた。
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傍白:無名の侍従も戦場に目を光らせ、英傑の言葉に闘志を掻き立てられていた。
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(レオン登場。勇者甲を見ながら、セリフを言う。)
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忠実な侍従:恐れなどないようで、羨ましい。私にも勇気を示せる機会があれば…
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勇者甲:おい、悪龍!話すのも怖いのか?この期に及んで怖気付いたか!
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悪龍:この夢は大きく見えるが空虚じゃ。心配せずとも、悪…善龍であるワシは、食すかどうか迷っておるだけじゃ。
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勇者甲:口さがないやつめ!敵に回っただけで、よくも俺を貶してくれたな!
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勇者甲:尊敬できる相手だと思っていたのに、こんなに陰険な策に出るとは。
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勇者甲:英傑である俺は、決してお前の奸智に屈しない。悪龍よ、恥を知れ!(勇者甲が前に進み、悪龍と交戦しようとする。悪龍は疲れたようにあくびをする。)
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傍白:彼の熱弁に、姫も今まで押し殺してきた心の炎を抑えられなくなった。
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(勇敢な姫様が登場!このシーンでは彼女の輝かしい印象を強調していないが、それでもスポットライトは必要。また、「心の炎を抑えられない」というのはあくまでも比喩なので、実際に舞台を燃やさないように。ところで、ライトの色を赤にする方法はないだろうか?ふむ、ヴァルベリーの果汁を塗ってみるか…)
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姫:平和な寝室にはとうに飽いた。いつになれば、最前線で共に戦えるの?
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悪龍:反論が面倒だっただけじゃが、善龍たるワシは追い詰められんとしている。
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悪龍:前菜を食べ過ぎると食欲が減るが、こだわらずともよいじゃろう。
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傍白:そう言って悪龍は英傑の夢を丸呑みにし、みなを驚愕させた。
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(漆黒の光が勇者甲の鎧から放たれる。悪龍は翼を高く広げて身をかがめ、黒の光を喰らいつくす!勇者甲は地面に倒れ、宝剣を投げ捨てて呆然とする。倒れるとき、動作はなるべく軽く、背景を倒さないように——何しろ、勇者甲は鎧を着ているため。)
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悪龍:思った通り、サクサクとして、食感だけは最高じゃ。
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(悪龍は満足げに唇を舐め、場外へ飛んでいく。)
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姫:英傑があっさり倒されるなんて。彼は本物でなく、ただ演説に秀でた者だったのね。
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忠実な侍従:名声に見合う実力を持っていなかったようです。虚勢を張れば、いずれ辛酸を舐める。
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傍白:悪龍の腹は満たされず——一行はただ彼の飛び去って行く姿を見送った。
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(ここで幕を下ろす。観衆に姫様の勇姿を見せるため、幕が完全に下りるまで、姫は舞台の中央に立ち続けること!)
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インタールード·其の二
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(王城。城門のところ、旗が風にはためいて音を鳴らし、威厳と壮大さを醸し出す。悪龍は窓から劇場に飛び入り、城門の前に着地して周囲を見渡す。城壁に着地したほうがよりいい表現になるが、舞台セットが悪龍の重さに耐えきれないかもしれないので、やはり城門の前に着地で!)
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傍白:飛び去った悪龍は、城門近くで休むことにした。
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悪龍:昼間なのに、守衛がおらん。死を恐れたんじゃろうか。
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傍白:悪龍が堂々とここで休んでいると、すぐに姫様一行が追いついてきた。
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傍白:最初に悪龍を見つけたのは、最前列で道を切り開く忠実な騎士だ。
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(レオンが登場し、セリフを観客に向かって発する。)
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忠実な侍従:(決意)なんて傲慢な悪龍だ。姫様に近づけないと、私は陛下に約束した!
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忠実な侍従:(やや心配)旅立ちの時、自信満々だった策士なら、良い手があるかもしれない。
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忠実な侍従:何せ、どんな困難や危機も、無事に乗り超えてきたらしい。
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忠実な侍従:無謀な者は無謀ゆえに損失を受けた。お考えの深い策士こそ、知恵を持つはずだ。
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忠実な侍従:万全な策がないまま、悪龍に挑むべきじゃない。
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傍白:忠実な侍従は気を抜かず、見た情報を他の者に囁いた。
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傍白:「悪龍が休んでいるうちに、じっくり策を練りましょう」。
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傍白:すると、姫は悪龍を起こさないよう、そっと近づいた。
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(姫登場。レオンの前に立ち、観客の方へセリフ。)
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姫:策士の言はもっともね。無謀な戦いをしてはいけない。
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姫:あなたが悪龍に気づいたおかげで、主導権を握れるわ。
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忠実な侍従:もったいないお言葉です。責務を全うしただけですから。
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姫:いいえ、賞罰を公平に与えるのは当然のこと。名誉を謙遜する必要はないわ。
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姫:策士が着いてきませんね。よろよろと歩いて、何か困りごとかしら?
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忠実な侍従:悪龍の災いを鎮める、いい案があるそうです。良策が多すぎて迷っているのやも。
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傍白:しかし何を言っても慎重な策士は無言のままで、冴えない表情をしていた。
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(勇者乙が登場。怖がっており、緊張している。)
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勇者乙:……
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忠実な侍従:勇者さま、悪龍はすぐそこ。どうか妙策をご教示ください。
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勇者乙:…み、妙策?よ、予想した状況とかけ離れていて、策の修正に時間がかかりそうだ…
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悪龍:ははっ!構やせん、夕方まで、策を練るには十分な時間じゃろう。
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(城門の前で匍匐していた悪龍が突然頭を上げて、空に向かって火を噴く!ただし、旗を燃やさないように注意。舞台セットに耐火性はないから、本当に燃えてしまったら面倒だ。)
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姫:悪龍が喋った?狸寝入りで、私たちが引っかかるのを待っていたのね!
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勇者乙:あっ!
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(勇者乙が真っ青になって舞台から逃げ出す。人々は呆然とした表情。)
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傍白:勇者乙はすっかり怯えて、慈悲を乞うように地面に突っ伏した。
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傍白:そして「ごめんなさい」と呟くと、躊躇なく城門へと逃げて行った。
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傍白:姫と忠実な侍従は慌てて後を追い、残された悪龍は失笑してしまった。
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悪龍:(さげすむ)国王ときたら、散々抵抗しおると思ったが、なんとも愉快で腹いっぱいじゃ。
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傍白:忠実な侍従に逃げた策士を探させ、姫は悪龍の監視に戻った。
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(セリフはないが、姫にスポットライトを当てる。)
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姫:(観客の方を向いて独白する)まさか策士は口だけで、役立つ策なんて出せないの?ならどうやって国の平和を守れば…
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姫:奇襲で討伐できたはずが、今はあちらが鋭気を養って待ち伏せている。
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姫:策士が逃げたせいで、私の侍従も後を追っているわ。
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姫:守衛のいない城の門は開け放たれて、無防備な姿を晒している。
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傍白:遅れて来た老練な守衛は酔っていたが、足取りはしっかりしていた。
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(老練な守衛が登場する)
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老練な守衛:…ヒック。酒池肉林に女、平和な時代は実に良かった。
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老練な守衛:裕福な家の偉いやつらは、俺たち小者の苦労なんざ知る由もない。
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老練な守衛:何が悪龍で策士だ、でたらめに過ぎんさ。
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老練な守衛:目も耳も衰えて、手は震えるし腰も痛い。絶対に俺の出る幕じゃないよな?
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傍白:若い守衛が小さな「教え」を受けたが、王国を守りたい気持ちは変わらなかった。
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(若い守衛が登場する。)
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若い守衛:姫様のために!あの悪龍を許さない!
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若い守衛:策士は尻尾を巻いて逃げ出すし、酔っぱらいの先輩も信用できない。僕しかいない!
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若い守衛:前線に立って、危機に瀕した王国を救い出し、貪欲な悪龍を駆除するんだ!
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若い守衛:(剣を抜いて前に立つ)悪龍よ!遺言があるなら、今のうちだぞ?
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悪龍:(愉快な)よいぞ!その腕、善龍たるワシに見せてみよ!
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(悪龍が再び空に舞い上がり、若い守衛を見下ろす。守衛は一瞬の躊躇いもなく弓矢を手に取り、空に浮かぶ悪龍に向かって射る。ただ、本当に矢を放つのは危険であるため、人に当たらないよう、動きだけ真似するように!)
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傍白:激戦の幕が切られたところに、忠実な侍従がやっと戻って来た。
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(レオンがさっと登場する。この時、観客たちには若い守衛と悪龍に注目してもらうため、一応スポットライトを当てておこう。)
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忠実な侍従:策士が見つからず…血気盛んな若者が不覚をとっていませんように。
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忠実な侍従:あっ、一歩遅かった!私は姫様を守らねばならないのに!
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傍白:嘆いても遅い。すでに悪龍は彼に興味を持ってしまっていた。
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(悪龍は疾風迅雷の勢いで若い守衛に向かって急降下する。守衛は慌てて弓を捨て、剣を抜いて応戦するが、激しい競り合いの末、若い守衛はとうてい悪龍には敵わず、吹き飛ばされてしまう。悪龍がそれを追いかけ、勝ちに乗じて守衛の鎧から溢れ出す黒い光を満足気に飲み込む。この戦闘には凄いエフェクトを使う!例えば、守衛の刃と悪龍の鋭い爪がぶつかった時、悪龍にこっそり火を噴かせて火花が散るような効果とか…)
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傍白:無謀な行動に出た守衛の夢を、悪龍はいとも簡単に呑み込んだ。
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若い守衛:うぅ…普段から自分の力を見極めていれば、こんな結果には…
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悪龍:腹を満たすほどではないが、満足できる前菜じゃ。
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悪龍:量は寂しいが、味は称賛に値する。
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悪龍:食前の楽しみがこれほどあれば、晩餐はさらに美味になるじゃろう。
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傍白:悪龍はみなの叫びに耳も貸さず、舌鼓を打って城門から飛び去っていく。
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(悪龍が舞台を飛び去っていく。人々は呆然と悪龍の消えていった姿を眺める。閉幕。)
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インタールード·其の三
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(郊外、村。開幕前に舞台裏で薪を燃やせば、煙で雰囲気を作っておけそうだ。)
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傍白:姫様一行は悪龍の追討を誓い、郊外にやってきた。
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傍白:忠実な侍従が先頭で、文句も言わず宗匠の荷物を運ぶ。
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傍白:自称、百戦錬磨の「龍殺しの宗匠」は彼を見下すが、侍従はそれを受け流す。
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(レオンは華麗に飾り立てられた重い宝箱を担ぎ上げ、苦労して舞台に上がる。)
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忠実な侍従:無数の龍を殺めてきた彼に対し、私は無名の侍従。荷運びくらいしかできません。
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忠実な侍従:石の中のこの剣は秘宝中の秘宝。選ばれし英雄にしか操れません。
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忠実な侍従:百戦錬磨の龍殺しの宗匠が、剣で悪龍をどう裁くのか、実に見物です。
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(悪龍は遠方から飛んできて、咆哮しながら炎を噴く。舞台上にある装飾用の日暮れセットを燃やす。日暮れの隣に防火パネルが設置してあるかどうか、事前に確認すること。事故防止のため、また観客からの苦情を避けるため、防火パネルが設置していなかった場合、日暮れを省略する必要あり。)
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傍白:その時、村で一休みしようと悪龍が舞い降りて来た。
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悪龍:どれどれ、黄金の夢はどこじゃろうな?
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(勇者丙が登場。レオンの後ろを手ぶらでついてくる。)
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勇者丙:悪龍よ。俺の肩書きを知るならば、さっさと去るがいい!
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悪龍:使い古された決まり文句じゃの、笑ってしまうわ。
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勇者丙:俺は見識があるから、大目に見てやる。だが、気を付けろ。
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勇者丙:俺が真の力を見せた時、後悔しても遅いからな。
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悪龍:ははっ、実力もないくせに、大口を叩きおる。
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悪龍:真の実力があるならば、善龍たるワシに見せてみよ。
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傍白:そこへ、尊いお方も足跡を辿ってやってきた。
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(スポットライトが舞台を端から一周なぞり、最後に姫を照らす。勇敢なる姫様の再登場だ!)
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姫:悪龍を王国から追い出すのは、私の役目。
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勇者丙:尊い姫様よ、悪龍に挑む許可をくれ。
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勇者丙:幾度も戦い、宝を手にしてきた俺にとっちゃ、お安いご用だ。
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姫:許します。凶暴ですから、どうか気を付けて。
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勇者丙:谷に潜む毒龍を倒したときの財宝から、一番貴重なのを選んできた。(マントをなびかせる)
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勇者丙:このマントがあれば、誰にも俺が見えまい。
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(観客がマントに注目した瞬間、勇者丙が突然姿をくらます!)
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勇者丙:人混みの中から、奇襲されようとしてるとは思わねぇだろ!
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悪龍:強いのかと思いきや、無意味な潜伏とは。
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悪龍:もしやこれは茶番か?臆病者が逃げようとしておるだけやもしれん。
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傍白:透明マントで隠れた彼を——誰が慧眼で見つけられるのか?
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勇者丙:よくも俺の名声を汚してくれた。熟練者に、恐れるものなし!
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勇者丙:立ち去るよう促したのに、好意を無にするとは…流石悪龍だ。立ち去るよう促したのに、好意を無にするとは…流石悪龍だ。
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勇者丙:奥の手を使わせて、後悔しても遅いぞ。
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悪龍:無駄に頭を絞らずとも、見せるものがあるならばさっさと見せろ。
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勇者丙:こ、ここじゃ不便だ。向こうでな!
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傍白:悪龍は何も言わず、笑ったのか、笑わないのか——ともかく、彼に同意した。
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(閉幕。幕が下りてから、舞台のセットを少し変える。日暮れセットの火を消すのを忘れないで!)
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傍白:悪龍はすぐに、宗匠が指定した場所へ降り立つ。
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傍白:姫様とその忠実な侍従も、小走りで後を駆けてきた。
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傍白:宗匠は逡巡する…何か、策を練っているらしい。
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(勇者丙登場。石に刺さった剣の周囲をうろうろするが、剣を抜こうとはしない。)
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勇者丙:…悪龍よ、見せてやろう。龍殺しのやり方を!
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勇者丙:氷原を越え、山を登り、秘境に潜り、強欲な龍を討ち…
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勇者丙:俺は、真の英雄にしか握れない唯一の宝剣を手に入れた。
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勇者丙:察するならばこの場を去れ。さもないと、鋭利な宝剣は龍の鱗をも貫くぞ。
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悪龍:ははははっ、小賢しい真似を。小人よ、無駄な努力はやめい。
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悪龍:ワシは躱さんし避けんぞ。剣を抜いて、思う存分斬ればよい。
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傍白:野次馬の村人たちは珍しがった。腕が鳴り、正体を確かめんとする者もいた。
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傍白:立ち向かう農民——農具に慣れた手は、果たして剣の柄を握れるだろうか?
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(農夫登場。農具を投げ捨てて、剣の傍に。)
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農夫:体力と気力なら、王宮のやつらに必ずしも劣らない。
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(農夫は渾身の力で剣を抜こうとするが、びくともしない。)
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農夫:はっ!ダメだ、力には自信があったが、こいつは無理だ。
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傍白:渾身の力を込めても、石の中の剣は微動だにしなかった。
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傍白:姫様と忠実な侍従はそれぞれの理由で、挑戦を見送った。
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傍白:黙って見てきた悪龍も、遂に我慢の限界に達す。
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悪龍:(退屈そうに)はぁ、口争いにはもう飽いた。いつになれば、真の腕を見せてくれるんじゃ?
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悪龍:先延ばしせずに、今すぐ剣を抜くがよい!
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勇者丙:りゅ…龍殺しの宗匠は、言いなりになどならない。
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悪龍:熟練の龍殺しなんぞ、どこにおる?口だけは確かに他より回るがの。
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悪龍:宗匠などと笑わせおって。そこな子供に聞けばよい。汝のことを見抜いておるわ。
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傍白:悪龍の言う通り、小人の小人も、鎧の下の本心を見抜くのだろうか?
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(子供登場。悪龍を見て、勇者丙を眺める。)
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子供:歌の中の悪龍だ!思ったより大きい!…でも怖くないよ!
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子供:ピカピカの鎧、なんで震えてるの?そんなに口を開けてるのに、何も話さないの?
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悪龍:間食は本意ではないが、せっかく届いた菓子に手を付けん道理はないのう。
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傍白:悪龍は大口を開けて、龍殺しの宗匠の夢を呑み込んだ。
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(勇者丙はその場に立ちつくす。恐怖のあまり身動きができない。悪龍は高く舞い上がり、少なくとも50メートルほど行ったところで急降下し、舞台を揺るがすほどの大きな咆哮を上げ、勇者丙の鎧から漏れる黒い光を呑み込む。勇者丙はじっと動かず、石の中の剣は彼自身の手によって投げ捨てられてしまっている。投げるときには舞台道具を傷つけないよう、そっと投げるように。)
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悪龍:チッ、思った通り、腐り果てた夢は理想的な食べ物とは言えぬ。
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悪龍:こやつの夢は腐ったリンゴ、喰うても歯が浮くだけじゃ。
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(悪龍は少し嫌そうな顔で牙を綺麗にし、村を飛び去っていく。忠実な侍従と観衆は唖然とし、姫は軽くため息をつく。)
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忠実な侍従:あっ!宗匠が負けてしまいました。
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姫:戦いの話はただの自慢だったのね。饒舌は彼を救わなかった。
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傍白:夢を失った、無力な「龍殺しの宗匠」だけを残して、悪龍は飛び去った。
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(幕が閉じる。観客の注意が姫に向かわないよう、悪龍が去るのを待ってから幕を閉じるように。)
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フィナーレ
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(王都の郊外。姫と忠実な侍従が悪龍の眠る洞窟にやってくる。)
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姫:西に太陽が沈み、東に弦月が昇ろうとしている。
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姫:期限が迫る中、私はまだ旅の目的をなし終えていない。
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姫:名高き勇者たちは、ついに現状を変えることはできなかった。
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姫:出発前、私は自ら悪龍を討伐すると誓った…
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姫:なのに今になって、この誓いが人に笑われないか心配している…
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忠実な侍従:姫様が役目に悩んでおられる。忠実な侍従として、悩みを分かち合わねば。
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忠実な侍従:私は肩書きすらありません。王宮にいられたのは、姫様の重用のおかげです。
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忠実な侍従:勇者についてはともかく、姫様のお人柄や勤勉さはよく存じ上げています。
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忠実な侍従:姫様、どうかご自分を軽蔑しないでください。これを機に、「勇者」たちの過ちを考えましょう。
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姫:その言葉、一理あるわ。彼らの言動を思い出してみましょう。
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傍白:中身のない身の程知らず…口ばかりで結果も出せなかった者…姫は思い出した。
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(勇者甲登場。気落ちし、肩を落として観客の方を向く。スポットライトが彼に当たる。)
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勇者甲:俺は英傑を自称していたが、実はただの身の程知らずで——それを見抜かれた。
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勇者甲:強敵に対峙できる実力などない。だが、脆い沽券も捨てがたかった。
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勇者甲:口が悪い?ただ、他人に舐められるのを怖がっていただけだ。
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(スポットライトが姫にあたる。)
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姫:悪龍の言う通り、英傑の夢は見掛け倒しだったわ。
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姫:度胸はあったけれど、見合う実力を持たなかった。
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傍白:万全の策があると誓っておきながら、戦いで逃げたしたのは誰か?姫は思い出した。
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(勇者乙登場。怯えた様子で観客と向き合う。スポットライトが彼に当たる。)
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勇者乙:保身のために役目を他人に投げ、逃げることしか考えてなかった。
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勇者乙:妙策が思い付くと思ったが、「どうやったら逃げられるか」しか考えられなかった。
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勇者乙:危機を乗り越えてきた?…毎回、恥知らずにも仲間を見捨ててきたことをみな知らなかっただけだ。
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(ここでもスポットライト!)
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姫:策士の彼に、策は一つもなかったわ。危機を前に、責任を全うできなかった。
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姫:慎重さは大切だけど、責務を放棄し、危ない橋は他人に渡らせるなんて…言葉にできないわ。
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傍白:大口は叩くが現実を恐れ、過去の栄光を披露するばかりであったのは誰か?姫は思い出した。
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(勇者丙登場。恥ずかしそうに観客の方を向く。スポットライトが彼に当たる。)
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勇者丙:歴戦の収穫は、俺が本物だと証明してくれる。実力差の大きいやつと戦いたくなかっただけだ。
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勇者丙:リスクを避けて利をとるのは本能だろ。もう功績は上げたし、国に命を捧げる理由なんかない。
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(スポットライトが姫にあたり、勇者三名退場。)
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姫:彼の経歴が本物かどうかはさておき、過去の栄光に縋るのは褒められないわ。
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姫:彼の精神はとうに腐り…気高さと夢を忘れてしまった。さらに彼はその忘失さえも誇った。
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(姫は、手にした細身の剣をそっと撫でながら、顔を上げて遠くの空を眺める。)
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姫:ああっ、彼らは使命を果たせなかったかもしれないけど、私こそ…
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姫:決心とこの細剣のみで、どうやって悪龍に立ち向かうと言うのでしょう?
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(レオンは姫の方へ歩いていく。決心を見せるため、かすかに頷く。)
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忠実な侍従:私は、姫様のお傍にいた傍観者に過ぎませんが。
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忠実な侍従:高みの見物を決め込む、志だけのお方ではない。
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忠実な侍従:仲間を危機にさらす、薄情者でもありません。
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忠実な侍従:姫様の前向きさと勤勉さ、そして黄金の夢は、私にもはっきり見えます。
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忠実な侍従:私の尊い姫よ、どうかご自分を軽蔑なさらないで。自分を、自分の夢を信じましょう。
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忠実な侍従:あなたならきっと、悪龍を討ち倒せます!
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(幕を下ろす。再び幕が上がると、悪龍は動揺した様子で洞窟に佇んでいる。悪龍が登場するとき、くれぐれも幕を切り裂かせないように注意!)
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傍白:約束の時間はもうすぐだ。悪龍は待ちきれず、「餓龍」と成り果てていた。
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悪龍:昼間に「間食」をたくさんしたが、正餐の代わりにはならぬ。
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悪龍:おやつはあくまでもおやつ。味が違おうとも、腹をひととき満たせるに過ぎん。
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悪龍:それに、美味いとも言えんかった——むしろ吐くくらいのもんじゃ。
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悪龍:もう黄金の夢しか、ワシを満たすことはできんじゃろう。
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(レオンは足音を立てないようそっと舞台に戻る。悪龍は腹を撫でており、気付かない。)
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傍白:侍従は悪龍を観察するため、そっと近づいた。敬愛するお方のためなら、恐れることなどない。
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忠実な侍従:これは王様との約束のためだけじゃない…
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忠実な侍従:ただ彼女の夢が叶うことを祈っているから。今の状況では難しいかもしれないが…
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忠実な侍従:あれ?悪龍の様子がおかしい。胸を塞いで…何かを呟いている?どれどれ…
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悪龍:(独り言)食欲に抗うべきじゃった。それに、小人を侮りすぎた…
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悪龍:胃の中が狂ったようにもたれて、小人に構う余裕などありはせん。
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傍白:忠実な侍従は、大喜びでその情報を姫に伝えた。
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(続いて剣を持った姫が登場。スポットライトは姫にあたり、姫は剣を突き付けて悪龍と向き合う。)
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姫:今、心は勇気に満ち溢れ、誇りを持って細剣を振り上げられるわ。
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忠実な侍従:(悪龍の胸元を指しながら)胸元です!硬い皮のない、唯一の弱点があります!
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忠実な侍従:この機を逃さず、弱った今こそ討つべきです!
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姫:悪龍よ!王国の平和のため、あなたに挑戦を挑む!はっ!
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(姫は高く跳躍し、悪龍の心臓にとどめの一突きを見舞う。悪龍は立ち上がり、翼を広げて防ごうとするが、姫は悪龍の巨体を飛び越え、悪龍の心臓に剣が命中する!)
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悪龍:くっ…!卑怯な小人め!
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傍白:こうして姫様の渾身の一撃は、悪龍を討った。
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(悪龍はバタンと倒れる。「バタン」は効果音だけでよし!本当にバタンと倒れたら、舞台が崩壊するので!)
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姫:気高さと夢を諦めない限り、世界の扉は開いてくれる。
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姫:忠実な侍従よ、今まで着いてきてくれてありがとう。あなたは決して、無名の人ではないわ。
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姫:最近の流行に合わせ、このような称号が相応しいでしょう。
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(姫が忠実な侍従を指差すと、侍従は漆黒の光を放つ。舞台上から沢山の羽根が舞い降りてきて、侍従は幕が閉じるとともに、ゆっくりと旋回しながら空へ飛んでいく。)
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傍白:「絶望も砕け散る漆黒の翼、聖なる裁きを下す侍従」——無名の者はついに名を手に入れた。
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傍白:このように、姫は自らの手で悪龍を退治し、王国の平和を守り切ったのであった。
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傍白:めでたし、めでたし。
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