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前回の続き。黒狐の達は悪徳商人に会うべく、大股に立ち去った。
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瓜売りの土左衛門は元侍だ。稲妻に平和が続いたため、商いを生業とし始めた。悪巧みばかり学んで、人相が悪いことも相まって、誰も文句が言えず、結果、土左衛門は大儲けをした。
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その日、土左衛門は屋台で休憩していた。すると、いきなり地面が揺れ、土埃がたち、屋台よりも大きな影が土左衛門を覆った。
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「お兄さん、瓜を頂戴!」
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土左衛門は目を見開き、来客を観察した。がたいが大きく、柄も悪い。今にも斬りかかってきそうだが、なんと女だった!
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「いくらほしい?」
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客は答えず、生板の上の脇差を凝視していた。
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「良い刀だ」
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「その通り。これでも武家の出なんだ、貴重な家宝くらい置いている」
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意図はわからないが、当たり障りなく答える土左衛門。
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「瓜を切るにはもったいない」
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棘のある言い方は、土左衛門の癇に障ったようだ。
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「瓜を買いにきたのだろう。無駄話をしないでさっさと買ってきな?」
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「はいはい、仰るとおりで」
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黒狐の達は申し訳なさそうな顔をして、ヘラヘラと笑った。
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「スミレウリを一升、皮は剥いてください」
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不審げにしていたが、特に追及もせず、土左衛門はスミレウリを切って、秤に乗せた。
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「お兄さん、その秤、調子が悪いんじゃない?」
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その言葉を聞いて、土左衛門は刀を握りしめた。
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「ねえ、その秤、ちょっとおかしいよね!」
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「姉さん、買う気があるなら、先にモラを払ってくださいよ」
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土左衛門はムカッと言い返した。
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「へっ、先払いをしても良いが、受け止められるかね」
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「それは払ってから言え!」
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「本当に?」
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「男に二言はない!」
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黒狐が「ほらよ!」と怒鳴り、ずっしりしたモラの袋を土左衛門の顔に向けて投げた。受け身も取れず、土左衛門は仰向きに倒れ、手に持っていた脇差も落ちてしまった。よく見たらまあびっくり、なんとモラの袋で鼻がぺしゃんこになっていたではないか。
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黒狐の達は二歩進んで、土左衛門を踏みつけた。何も言わず、拳を叩き込んだ。殴られた土左衛門はカンカンカンと耳鳴りがした。もがいて起き上がろうと、地面に落ちた脇差に手を伸ばしたところ、黒狐に見つかり、また拳を食らった。その時「ポン」と土左衛門の頭に狸の耳が飛び出して、しきりに命乞いをしはじめた。
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達はというと、口をあけて大笑いをしている。この悪徳商人も妖怪だった。それも小汚い狸だったとは!
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見逃すかわりに、狸が盗んだ脇差を没収し、その全財産を村人と楽師の親子に分け与えた。そうして、黒狐はまた旅路についた。 |