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最後の光が消え、闇が森を覆おうとした。
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「お姉ちゃんの番だよ」
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マダリーネがいきなり腕の中のディートリッヒを下ろした。
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「そうだ、もう一つプレゼントをあげよう。お姉ちゃんもきっと喜ぶ」
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少女の指の隙間から光が滲み出て、徐々に眩しい光のかたまりになった。マダリーネが光魔法を発動したのだ。
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「はい、いい子にしてるのよ。しー、何も喋らないで」
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「何だよ、勿体ぶって……うむっ」ディートリッヒが状況を理解できず、小声でつぶやいたが、細い手がディートリッヒの口を握った。
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一瞬にして、口の中に入れ替わった少女に何かを入れられた。
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「これは——」
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剣の柄だ、彼の剣の。
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かつて彼の腰にさげた剣。
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「!?」
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ディートリッヒが何か喋ろうとして、本能的に口を開けようとした。
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「死にたくなければ、しっかり咥えておけ」ノットフリガが虚空に向かって手をのばす。ディートリッヒは首輪がキツく締めるのを感じて、仕方なく歯を食いしばった。
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「いいか、その剣で自分の身を守れ。無能なお坊ちゃんだけど、ここで死なれたら困るんだから——」ノットフリガはディートリッヒを頭を持ち上げて、低い声で言った、「まだ教えることもあるからね。簡単に死なれたら、私の楽しみが減るもの」
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暗夜の魔女様がそう言うと、手を引っ込めて、コートを正した。
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首輪が元通りにゆるくなり、空気が鼻や牙の隙間から一気に肺に送り込まれた。ディートリッヒは口を開けることができなくて、鼻で必死に呼吸を整えた。
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程なくして、遠くから騒がしい音がした—— |