モンドの先民は、激しい風の吹く崖に劇場を建設し、神を敬う慣習がある。 祭祀は演劇の形で行われる。神様は物語と唄を好むと彼らはそう信じている。 この台本の歴史は数千年以上。すべてを読むことは難しい。 遠い昔、烈風の君王と北風の王狼の戦いは、モンドの大地に砂のような風雪を巻き起こした。 極寒に耐えられない人々は、モンド東部にある高い崖で神殿を設立し、神様のご加護と恩恵を祈る。 風の息吹は今を吹くが、時の灼熱は永遠であり、誰にも止められず、抗うことはできない。 風神は台本のページをめくる。だが台本の字を掠れさせるのは冷酷非情な時の神である。 風の神と時の神、両者は似たような悲しみをもたらす。 こうして、神殿の祭祀対象は風神だけだと勘違いされていった。