小さな花形の徽章。中から音が聞こえるらしい。 流浪楽団に颯爽とした剣士がいた。 水面に映る霞光よりも清らかで美しかった。夜明けを知らせる雀のように優雅であった。 彼女が剣を振るうたびに、笛の音と歌は風と共に舞い上がる。 その曲、その舞は雨のち晴れのようであった。 全てが落ち着き、舞台の上も下も静寂であった。 彼女が手にすれば、音楽も剣も同様に美しく、武器として非常に強力であった。 これは流浪楽団の演奏、観客は2種類に分かれた。 目の前の観客は悪党であった。だが楽声は遠い舞台の外まで届いた。