—第四折·挑燭灯— 生:範皆 旦:梓心 武丑:呉旺 『第一場』 (範皆左側から出場、梓心右側に座る) (東塘連江) 範皆:女子を攫う賊が憎い。それに、意中の人の安否が心配だ。 範皆:法に従わない者たちに、この範皆が天誅を下そう。 範皆:参る—— (範皆、馬鞭を打って呉塞へ) (話) 範皆:遠くから騒ぎを聞きつけ、ここまで馬を走らせた。 範皆:ここがその者らの拠点に違いない。 範皆:梓心を救いたければ、賊の拠点に潜りこんで探さねば。 範皆:ふむ、これしかない。 (範皆、壁を乗り越え退場) (落花調) 梓心:中には蝋燭と灯のみ、外には賊たちが… 梓心:こんなことになるなんて…一体どうすればここから逃げられるのでしょうか… 『第二場』 (呉旺酔っぱらいながら、右側の門を開け出場) (語) 呉旺:俺様は昔から好きにやってきた、神でさえ俺様の前では跪く。 (話) 呉旺:ハハハッ、なぜこんなに嬉しそうにしてるかって?ヘヘッ。 呉旺:べっぴんな女を攫ったからさ。 呉旺:いつものように酒を楽しんでから、美人に会いに行くか。 (東塘原櫂) 梓心:酔った悪党がやって来ます。蝋燭を手にしなくては… (話) 梓心:来ないでください。 (呉旺と梓心取っ組み合い。梓心蝋燭で呉旺を打つ。呉旺と梓心倒れる) (東塘原櫂) 梓心:やみくもに打ったのが当たりました。早く逃げなくては… (話) 梓心:灯りも何もありません。どうしてこんなに暗いのでしょう。 梓心:蝋燭を付けて—— 梓心:いえ、もしあの者に捕まってしまったら、命はないでしょう… 梓心:このまま暗闇を少しずつ進んで行くしかありません。 梓心:そうですね、やはりこのまま行きましょう。