1 00:00:00,625 --> 00:00:03,000 彼は拙者の親友であった 2 00:00:03,525 --> 00:00:05,050 あの日彼は拙者に 3 00:00:05,500 --> 00:00:08,975 「無想の一太刀」を聞いたことがあるかと聞いてきた 4 00:00:09,675 --> 00:00:10,775 拙者は当然 5 00:00:11,275 --> 00:00:15,275 その一太刀は「神罰」が下る時にのみ見られると答えた 6 00:00:16,275 --> 00:00:19,250 それは雷電将軍が達した武の極み 7 00:00:19,800 --> 00:00:21,400 最強である証 8 00:00:22,025 --> 00:00:23,275 しかし彼は 9 00:00:23,700 --> 00:00:26,750 「その一太刀 手が届かなくもない」 10 00:00:27,325 --> 00:00:32,650 「いつの日か雷霆に相対する者がこの地上に現れる」と言った 11 00:00:33,800 --> 00:00:37,700 その後 「目狩り令」がなんの前触れもなく下された 12 00:00:38,550 --> 00:00:39,900 人々の願望は 13 00:00:40,400 --> 00:00:43,475 「永遠」を構築する瓦と成り果てた 14 00:00:44,250 --> 00:00:47,400 そして 拙者が放浪をしていた時 15 00:00:47,850 --> 00:00:49,950 彼が「目狩り令」の執行者に 16 00:00:50,200 --> 00:00:52,850 「御前試合」を申し込んだと聞いた 17 00:00:53,675 --> 00:00:57,250 「御前試合」は厳粛で残酷なもの 18 00:00:57,850 --> 00:00:59,525 敗者は神罰を受け 19 00:00:59,875 --> 00:01:01,750 勝者は転機を勝ち取る 20 00:01:02,250 --> 00:01:06,500 彼は自分こそが立ち上がるべき人間だと思ったのであろう 21 00:01:07,125 --> 00:01:10,550 それに 「無想の一太刀」に相対するのが 22 00:01:10,875 --> 00:01:12,800 彼の願いでもあった 23 00:01:13,875 --> 00:01:16,400 しかし拙者が「天守閣」に着いた頃 24 00:01:16,800 --> 00:01:19,100 すでに御前試合は終わっていた 25 00:01:19,500 --> 00:01:21,100 ただ「神罰」が下り 26 00:01:21,525 --> 00:01:24,900 彼の刀が地面へと落ちる音が響いた 27 00:01:25,300 --> 00:01:28,650 それが彼の見たかった光であったのであろう 28 00:01:29,325 --> 00:01:30,425 最後の瞬間 29 00:01:30,725 --> 00:01:33,475 彼はどのような顔をしていたのだろうか 30 00:01:33,975 --> 00:01:36,100 想像する間もなかったでござる 31 00:01:37,025 --> 00:01:40,800 拙者は光が失せゆく神の目を奪いそこから逃げた 32 00:01:41,900 --> 00:01:43,800 拙者に理解できたのは 33 00:01:44,225 --> 00:01:46,000 彼の熱き願いを 34 00:01:46,575 --> 00:01:51,700 氷のように冷たき神像へとはめ込むべきではないということのみ