天空を貫いた牙。 深邃古国の黒金鱗を突き通した。 古国罪人の後継者の喉を切り裂いた。 昔、モンドの繁栄を終わらせるべく魔龍ドゥリンが襲来した。その翼は日の光を覆い隠した。 魔龍の嫉妬が邪悪を産み、その邪悪が大地の生命を侵蝕した。 その時のモンド周辺は魔物により荒れ果てていた。 風の神は人々の悲痛な叫びを聞き、天から降り立ち、風龍を呼び起こした。 そしてトワリンは風と共に、命ある者のため戦うべく空へと飛び出していった。 トワリンは風神の祝福と共に魔龍と戦った。巨龍による戦いは雲を突き抜けた。 千の風が毒をまとい、日輪は暗色に変わり、燃える空は世界の終焉を彷彿とさせた。 天空を燃やした激戦の末、トワリンは魔神から授かった剣歯で魔龍の喉を噛み切った。 だが、トワリンは魔龍の毒血を飲み込んでしまった。魔龍ドゥリンは悲鳴を上げることなく、空から落ちていった。 風龍は猛毒により、苦痛を伴う昏睡状態へと陥った。 最も練達な詩人もトワリンの行き先を知らなかった。 数百年を経た今、モンドの人々は風龍の奮戦を忘れていた。 トワリンが骨の髄まで響く毒の痛みに堪え、その地に帰還しても、友の琴声は聞こえてこない。 かつて風龍に守られた人間は彼を遠ざけ、「魔龍」と名付けた。 いつの日か栄光は取り戻され、毒は浄化される。 詩人の旋律が人々の記憶を呼び起こす。 風龍の名誉を挽回するという願いが、この剣には宿っている。