世の全てが璃月にあり。これは偉大な璃月港への讃美である。 他の国の珍宝も人と共に璃月港に来る。 刃がついてない細い剣だが、先は極めて鋭い。振り回すより、突き刺すことに特化した剣。 使いこなすには技術が必要だが、もともと良質な剣のため、修練を必要とせず、使いやすい。 遥か遠い異国からの武器。遠洋航海帆船のオーナーが腰に下げていた。 剣身は細く、優雅な曲線美は帆船の雰囲気に合わない。 度々剣の詳細を聞かれても、船主が答えることはなかった。噂は風とともに流れていく。 海賊からの戦利品だ、あるいは略奪した物だろうと。 日が暮れ、帆を下ろすと、彼はいつもそっと剣を拭う。 風の国の思い出を、遊侠としての失われた時間を、 故郷で出会った少女のことを、報われなかった恋を、そして再会の約束を思い出す。