血染めの騎士は、太陽、月、星の見えない深淵の地下に足を踏み入れた。 時間を観測する唯一の道具であったが、時間そのものは意味を無くしていた。 血染めの騎士の最後の物語であり、その後、彼は身を引いた。 血に黒く染められた騎士は、もう自分の居場所がないと気づいた。 だから、崩壊した古国に入り、魔物の戦いで戦死する道を選んだ。 世界の底で、彼は古国に終末を告げた魔物の起源を理解した。 「偉大なる古国は不義の裁きを受けた」 「偉大なる古国の民は化け物だと歪曲された」 「我が騎士道、こんな不公平を断じて許さん」 「彼の名前が深淵ならば、我は深淵に忠誠を誓おう」