元々はただの白い花であり、助けられた仕女が騎士の胸の前につけたもの。 殺戮の中、何度も黒い血に染まった花は、その花弁を硬化させた。 遊侠騎士が初めて魔物を倒した時、ある仕女を危険から救った。 報酬を断った彼は、少女から真っ白な花をもらった。 「騎士の唯一の報酬は、騎士道を行くことだ」 「俺の褒章はこの花で。それでいい」 ずっと胸の前につけていた花は、幾度となく血に染められた。 騎士の銀色の兜のように、冬の夜のように黒くなり、 そして騎士の心のように、鍛え抜かれた鋼鉄のように硬い。