緻密で滑らかな絹で作られた青い百合。 旧貴族の女性が使っていた冠り物。 かつてモンドを支配していた旧貴族が残した精巧な髪飾り。 あの伝説の時代、貴族の容姿と立ち居振る舞いは一般人の模範であった。 その行動や知恵によってモンドの民を導き、臣民を統べただけでなく、 容姿までもが整っており、彼らはモンド人を代表するものであった。 それは単に高貴な血を受け継いだからではない。 彼らが美徳を守り、周囲に原則と尊重を保って行動したためであった。 だが、彼らの限りない欲望によって、貴族の寿命は縮まった。 自慢だった華麗な美貌も衰えていった。