雷の魔鳥が落とした羽根、紫色の艶を放っている。 滅ぼされた部族が存在した最後の証かもしれない。 古い部族は雷鳥を守護神としたが、雷鳥は古い部族を滅ぼした。 ある愁いの夜、雷鳥は少年と無垢な友情を築いた。 魔鳥が帰った後、偶然落とした羽根を少年が拾った。 「また雷雨と一緒に来た時」 「他の歌を歌ってあげる」 果たされなかった約束に、魔鳥は悔恨し発狂した。 そのまま灰燼となった山から遠く離れる。 そして数年後、魔鳥は世を乱す妖怪として討伐された。 時を経て、焦土だったこの場所に、再び青々とした木々が芽吹いた。 雷の羽根が草木の間に埋まっていた。 雷鳥と少年の物語は部族と共に無に帰した。