柔らかな手で摘まれた、永劫に凍れた氷の花。 ある人にしては、極寒が温もる抱き合いのように感じさせてくる。 「ここの4番目の壁画はあなたのために用意されています。あなたの肖像はこの壁に永遠に残されましょう。」 「この壁画のために、みんなのために、私はいつまでもここであなたの帰りを祈っています…」 空白の壁の前で、少女は微笑みながら勇者の胸に花を飾った。 優雅で冷静な人は、たとえ死に迫ろうとも変わりはない。 古い歴史が北境の猛吹雪に覆われた。 そして雪が溶けた時、この花は散らずに咲いていた。