学士のテーブルに置いてあったコップ。金メッキ仕様の薄い陶磁器である。 乱雑な部屋にそぐわず、高い社会階層の出身者であることが窺える。 しかし孤高な学士はこの美しいコップの使い道を無視し、羽根ペンを入れていた。 彼女はそれを筆先を洗う硯としても使っていた。黒い墨に染まってもそのまま放置した。